飲み込んだ言葉
「仕方がないよね」
今年に入って、何度も自分に言い聞かせた言葉。
「悲しい」「悔しい」の上から
塗りつぶすように何度も何度も重ねた言葉。
振替公演が決まった矢先、
年内の大型公演を中止するというお知らせ。
怒りの矛先をどこに向けたらいいのかも分からない。
周りが「今回は仕方がない」と言うから同調する。
元から当選していないわたしが悲しむ権利なんてないのかも。
そして何よりも、
公演ができない御本人たちが悲しむ暇もなくオンライン配信に向けての準備をすでに始めてくれている。
本当は口に出したい悲しさや悔しさを飲み込んだ代わりに、オンライン配信が決まってよかったというポジティブな意見とアーティストとアイドルの安全を守るための最善の方法がこれだという綺麗事を並べたりして。
"仕方がない"
と結論づけることが正しいんだと言い聞かせていた。
公演日程が決まったこともリハーサルが順調なことも嬉しそうに教えてくれた。開催目前で延期が決まったとき彼らはなにも悪くもないのにごめんねと謝ってくれた。待っててね、と。会えない時間が愛を育てるからね、と。そして振替公演が決まったときもまた一段と嬉しそうに報告してくれた。それなのに。また、謝罪の言葉を聞かなければいけないんだろうか。一生に一度のデビューコンサートなのに直接おめでとうを言うことも許されない。悲しみたいけど、その悲しみが、なんとか前を向いていこうとする彼らの重荷になるのはもっと悲しいからわたしも同じ方向を向きたかった。
オンライン配信は嬉しいけれど、嬉しくない。
パフォーマンスが観れればそれでいいわけじゃない。
9人と同じ時間を同じ空間で過ごしたい。
9人を包み込む鳴りやまない拍手の音が聞きたい。
おめでとう!大好き!と声に出したい。
スポットライトを浴びて輝く姿を見たい。
バラエティ番組では見られない、アーティストとしての表情が見てみたい。
雪のように白く輝くペンライトの海を9人の目いっぱいに映してあげたい。
連番する友達と顔を見合わせて、楽しいねって笑いたい。
音も光も興奮も、ぜんぶ、わたしの肌で感じたい。
心のポケットを好きでいっぱいにしたい。
好きを抱えきれずに大泣きしたい。
悲しさも悔しさもなくならないよ。
仕方ないという言葉を重ねてもなくならない気持ちだから、この際心の隅に置いておこうかな。だけどそれをバネにして新しいエンターテインメントを受け止めたいな。彼らのすることを全部応援したいから。どこまでもついていきたいから!
会えなくたって心はいつも心は一緒だと実感できる公演になりますように。
ひとりひとりが抱えた悲しさや悔しさが昇華するくらい、笑顔いっぱいの公演になりますように。
きっと"好き"に付随する感情は全部間違ってない、
大丈夫。